こんにちは。べっちー( @becchie76)です。
「HIITの体質改善効果は科学的に証明されています。」
これは私が読んだHIITについての書籍『世界一効率がいい 最高の運動』(著:川田浩志 監修:福池和仁 出版:かんき出版)にある一文です。
ダイエット効果は体質改善効果のひとつですし、他にも身体に良い効果があるHIIT。しかもこの効果が科学的に証明されているときたもんだ。
前回の記事では1日たった4分でOKなことをクローズアップしましたが、今回の記事ではHIITがなぜ私たちの身体に高い効果をもたらしてくれるのかについて掘り下げてみようと思います。

ちなみに今回ももちろん『世界一効率がいい 最高の運動』を参考にさせてもらっています。
目次
高い効果が科学的に証明されているHIIT
HIITはもともと、HIITという名前が世に出るずっと前から、心肺機能を上げて持久力をアップさせるために全力ダッシュを何回か繰り返すなどのトレーニングとしてアスリートの練習メニューに取り入れられていました。
運動能力を高めるために身体機能をアップさせていたわけですね。「させていた」なんて過去形で書いちゃいましたが、こういったトレーニングではもちろん今でもよくおこなわれています。
ところが最近になって、こういった身体に高負荷をかけるトレーニングは運動能力を高めるだけではなく、私たちが生活する上でのさまざまなことに対しても大いなる効果があることがわかってきました。
その効果とは、ざっくり言うと冒頭にも出てきた“体質改善効果”です。
2017年以降は「爆発的」という表現がぴったりくるくらいに発表される研究の数が増えているのです。
さらに2018年以降は、複数の調査研究をまとめて解析(メタ解析)した結果も増えてきました。
とご自身も医師であられるこの本の著者の川田浩志さんは本のなかでこうおっしゃっています。
食物と酸素からエネルギーがつくられる
でもこれではHIITがなぜ効果が高いのかの理由にはなっていませんね。よってここからが本題です。
私たちが生命活動をしていく上で必要となるのが食物。でも「食物=エネルギー」かというとそうではありません。
食物に含まれる糖質と脂質が身体に貯蔵され、酸素を消費しながら糖質または脂質からATP(アデノシン三リン酸)がつくられます。このATPが分解されることで身体を動かすためのエネルギーとなります。
これを簡単にいうと、
食物&酸素⇒ATP⇒エネルギー
となるってこと。ここまでのことは有酸素運動の記事でもお伝えしましたね。



ミトコンドリアが酸素を取り込んでATPをつくる
ATPがつくられる場所は細胞のなかにあるミトコンドリアという細胞小器官。
つまりミトコンドリアは食物と酸素を材料にしてATPをつくるということですね。
現代は飽食の時代ですからね、食物は過剰摂取している人が多い(だから太る)くらいだから、材料のひとつである食物は充分に足りています。
問題はもうひとつの材料である酸素です。ミトコンドリアが酸素をたくさん取り込めればたくさんATPをつくれて結果的にエネルギー量も多くなりますが、酸素の量が少なければつくられるエネルギー量が少なくなってしまうのです。
アスリートさんとぐうたらさん
さてここでちょっとしたお話をしましょう。
ここに2人のある人がいるとしましょう。1人は身体を鍛え抜いたアスリートさん。もう1人はお腹も出ていて見るからに運動不足なぐうたらさん。
2人はいつものように出勤のために電車に乗ろうとしていました。そのとき、
「電車に乗り遅れそうだ! ダッシュで乗り込もう!」
ダダダッ!・・・2人ともなんとか間に合ったようです。でも、電車に乗り込めたのはいいものの、日ごろの運動不足がたたってか激しく息を切らしているぐうたらさん。でも一方のアスリートさんは軽く息を切らすくらいでへっちゃらな顔をしています。
さてこの2人、いったいどんな違いがあるのでしょうか?
アスリートさんとぐうたらさんの違い
と言われればそれまでですが、それじゃあなぜ身体を鍛えていると息はそれほど切れず、身体を鍛えてないと息が切れるんでしょ?
ここに関わってくるのがそう、酸素です。
身体を鍛えて心肺機能が高い人は多くの酸素を取り込むことができ、心肺機能が低い人は少ない酸素しか取り込むことができません。
そのため心肺機能が高いアスリートさんはちょっとダッシュしたくらいでは軽く息を切らすくらいで済みましたが、心肺機能が低いぐうたらさんは激しく息を切らしていたんですね。
アスリートさんはたくさん酸素を取り込めていたのでへっちゃらだったけど、ぐうたらさんは少ない酸素しか取り込めなかったのでちょっとダッシュしただけで酸欠状態。だから激しく息を切らすことでより多くの酸素を取り込もうとぐうたらさんはがんばっていたのです(傍から見るとがんばっているというより気の毒に思えますが…)。
(使える酸素の)上限値のことを「最大酸素摂取量」といい、これがいわゆる「持久力」「スタミナ」「体力」といったものの正体です。
とあるように、酸素を身体に多く取り込めるか否かで私たちの生命活動を左右するといっても過言ではないのですね。
ミトコンドリアの質が悪くなり量が減る原因
話をミトコンドリアに戻しましょう。
最大酸素摂取量が人によってなぜ違うかというと、それは私たちの細胞のなかにあるミトコンドリアの質と量によって変わってくるからです。
つまり、同じ運動でも息が切れないアスリートさんはミトコンドリアの質が良くて量が多く、息が激しく切れるぐうたらさんのミトコンドリアは質が悪くて量が少ないのです。
それではミトコンドリアの質が悪くなったり量が少なくなる原因はなんでしょう?
答えは加齢と運動不足。加齢により自然とミトコンドリアの質が悪くなり量が減少しますが、運動不足だとこれに拍車をかけてしまいます。
と思うかもしれません。でもミトコンドリアの質が悪くなると、運動すると息が切れるだけでなく、もっと重大な悪影響が身体に及んでしまう場合があるんですよね…。
ミトコンドリアの質が悪くなると…
ミトコンドリアの質が悪くなると……活性酸素がたくさん生み出されてしまいます。
近年よく耳にすることが多くなった活性酸素。活性酸素はほかの物質を酸化させる力が強く、喫煙や多量の飲酒、ストレスなどでも多く生み出されています。
そして活性酸素が過剰に生み出されると次のようなリスクが高まってしまうのです。
● 動脈硬化
● 心血管疾患
● 脳血管疾患
● がん
● 糖尿病
● 胃潰瘍
● アルツハイマー病
● パーキンソン病
など
だから医者に言われるんですね、「運動しましょう」って。
HIITは心肺機能を高めるトレーニング
ここでようやく登場しました。我らがHIIT。
一般の人向けのHIITは最大心拍数の7~8割程度の心拍数でおこなうトレーニング。ウォーキングやスロージョギングよりも高負荷がかかります。
HIITにより心肺機能が高まります。心肺機能が高まれば最大酸素摂取量がもちろん多くなります。
そしてミトコンドリアの量が増え、質も高まります。
そうすれば活性酸素が生み出される量が少なくなるので、各種疾患を予防し、老化を遅らせることができるというわけ。
つまり若返りのトレーニングともいえますね、HIITは。
しかもHIITは筋力増強や脂肪燃焼の効果も高い(おそらく今これを読んでいるあなたはこれをもっとも期待しているはず)。
病気のリスクを減らしてボディメイクもできる。しかも短時間(1日4分)で。だから夢のようなトレーニングなんですねHIITは。
一般向けHIITにさまざまなトレーニングメニューが用意されている理由
ここまでお話してきてふと思いました。
HIITって前回の記事でお話したようにいろいろなトレーニングメニューをするのではなくて、心拍数がある程度高められれば同じメニューをずっとしても同じじゃね? って。
たしかにトレッドミル(ルームランナー)や自転車エルゴメーター(エアロバイク)だけを使ってHIITをするプログラムもあります。
でもこのブログで紹介しているHIITは別の目的もあります。
それは全身の筋肉をまんべんなく鍛えること。トレッドミルや自転車エルゴメーターでは身体の一部の筋肉しか使いませんからね。
それともうひとつ。飽きさせないようにするという目的もあります。いくら1日4分でも毎日同じことをしていれば飽きてしまうもの。
しかもいつも同じ筋肉を使っていると、筋肉は刺激に慣れてしまいトレーニング効果が薄まってしまう。これを避けるために身体の多くの筋肉を鍛えるためにさまざまなトレーニングメニューが用意されているのですね。
まとめ
それではここまでをまとめてみましょう。
加齢と運動不足で心肺機能が衰えてミトコンドリアの質が悪くなり量が減る
ミトコンドリアの質が悪くなると活性酸素が過剰に生み出されて老化が加速したり疾患のリスクが高まる
HIITは各種疾患を予防し、老化を遅らせる効果がある
HIITには筋肉増強と脂肪燃焼の効果も高い
ダイエット効果だけではなく、健康寿命も長くしてくれる可能性を秘めたHIIT。「キツイから」「ツライから」で運動しないのは……HIITのことを知れば知るほどかなりマズイと思い知らされます。
後になって「やっぱり運動しておけばよかった…」と後悔するのがイヤだったら、今日からさっそく身体を動かしたいですね。
次回はHIITがもたらしてくれるさまざまな効果についてお送りしたいと思います。お楽しみに!





