肉食系女子
“肉食系”の方を悩ませる肉とダイエットの関係。でもダイエットと肉は相性が良く、実は肉食はおすすめのダイエット法だったりします。
今回は、ダイエット中の肉食についてお送りしていきます。
目次
『いきなりステーキ』に毎日通うとやせる?
肉食は本当におすすめのダイエット法か?
これについて、ある納得できる話があります。
以前、テレビでこんな番組が放送されていました。番組内容は、ステーキチェーン『いきなりステーキ』に毎日のように通っている人たちの様子を紹介したもの。
ステーキ店に毎日のように通うほどだから、皆さんさぞ太っているのだろうなと失礼ながら思っていました。
しかし、番組で紹介されていたある男性出演者はなんと、お店に通うようになってから毎日ステーキを食べていたにもかかわらず、太るのではなくて逆にやせたのだとか。
やせたからといって肉の量を少なくしていたわけではありませんでした。細かい内容は忘れてしまいましたが、その男性は毎回300g以上のステーキをペロリと平らげていたのです。
肉をたくさん食べて太るどころか逆にやせる? と驚いたことをおぼえています。
糖質制限と関連がある肉食ダイエット
この男性が来る日も肉を食べつづけたにもかかわらずやせたのは、肉食が糖質制限と関連しているからでした。
肉にはタンパク質がとても多く含まれていますが、糖質はほとんど含まれていないという特徴があります。
糖質(炭水化物)は身体のエネルギーとして必要な栄養素。
でも摂りすぎると、糖質が消化・吸収によって産生されたブドウ糖が脂肪に変換されてしまい、これが体脂肪として身体に蓄積されてしまうのです。
一方のタンパク質はというと、たくさんのタンパク質を摂取しても身体にはこれを溜めておく貯蔵庫がありません。
そのためタンパク質を多く摂っても体脂肪に変換されることはなく、同じカロリーでも糖質を多く含む食品よりも、糖質が少なくタンパク質を多く含む肉のほうが太りにくいというわけ。
先ほど紹介した男性も、ステーキを食べるときにライスやコーンなどの炭水化物は食べず、肉と野菜だけ食べていたのでやせたということでした。
つまりこの男性、肉食ダイエットというより糖質制限ダイエットでやせたということですね。
※この番組が放送されたときは糖質制限ダイエットがまだそこまで人々に周知されていなかったので、糖質制限という言葉は出てこなかったと記憶しています。
ダイエットにおすすめな肉の部位
さて、ダイエットしているときも食べて大丈夫なお肉。
肉にはタンパク質が多く糖質が少ないという特徴がありますが、脂質も多いというデメリットがあります。
でも大丈夫。
肉の部位によって脂質の量に差があるので、脂質が少ない部位を選べばより健康的にダイエットができます。
参考までに脂質が多い牛のバラ肉の栄養成分をご紹介するので、下の脂質が少ない部位と比較してみてください。
※栄養素の量はすべて100gあたりです。
※栄養素は「カロリーSlims」にて調査しました。
牛ヒレ肉
ヒレ肉はバラ肉と比べるとタンパク質が多く、脂質が大幅に少ないことがわかりますね。
ただし和牛になるとヒレ肉に限らず全体的に脂質が多くなるので、ダイエット目的で牛肉を食べるならば輸入牛を選ぶほうがよいでしょう。
なお、不足しがちな鉄と亜鉛が牛肉には多く含まれているため、貧血予防や新陳代謝促進などにもよいです。
牛レバー
独特の臭みがあるため苦手な人も多いレバー。しかしヒレ肉と比べてタンパク質は遜色なく、脂質はさらに少ないです。
後述したとおりビタミンやミネラルの量がとても豊富なのもレバーの魅力ですね。
ただし、レバーにはレチノール(ビタミンA)が多く含まれているのでとくに妊娠中の方は過剰摂取しないよう気をつけてください。
豚ヒレ肉
豚ヒレ肉は、牛ヒレ肉や牛レバーと比べてカロリーが少なく、脂質がさらに少ないことがわかりますね。
栄養素ではとくにビタミンB1が豊富。ビタミンB1は疲労すると分泌される乳酸を分解してエネルギーにかえてくれるほかにも、糖質を代謝してエネルギーにかえてくれるのでダイエットの強い味方でもあります。
豚レバー
豚ヒレ肉と比べると脂質が多いですが、牛レバーと同じくビタミン・ミネラルが豊富に含まれています。
ただし、レチノールが多いのは牛レバーと同様です。
鶏ささみ
豚肉よりさらに脂質が少なく、なおかつタンパク質が多いのでささみはダイエットにはぴったりな食材です。
高タンパク・低脂肪のためボディビルダーが好んでよく食べている印象なのがこのささみ。
迷ったらささみを選んでおけば間違いないでしょう。
鶏むね肉
ささみほどではありませんが低カロリー・高タンパク・低脂質な優等生なのが鶏むね肉。一時期「サラダチキン」として流行しましたね。
この中でもっとも安く買えるので家計にも嬉しいです。
ただし、皮には脂肪が多いため、ダイエット目的なら皮なしでいただきましょう。
ラム肉
ラムは1歳未満の子羊のこと。
脂質が少し多めですが、羊肉の脂肪は融点が高いため人の身体に吸収されにくい、不飽和脂肪酸を多く含むため悪玉コレステロールを減少させるという特徴があります。
また、後述するL-カルニチンがここで紹介した肉のなかでもっとも多く含むのも羊肉の特徴のひとつです。
ダイエットのための肉の食べ方
冒頭ではいきなりステーキのことをご紹介したので、ステーキや焼き肉でお肉を食べたい! と思ってしまったかもしれませんね。
焼いて食べるのも有りですが、ダイエットのための調理法としてはカロリーの低い順番から…
となります。
もっとも良いのが鶏ささみを蒸す。
鶏むね肉を茹でて自家製のサラダチキンにすればダイエットにぴったりだし、材料費も少なくて済むのでとてもおすすめです。
もっとも良くないのがトンカツや唐揚げなどの揚げ物。揚げ物はトンカツだったらパン粉や油など、肉以外の材料も使用するのでダイエットという観点ではNGです。
でもあまり気にしすぎるとストレスになるので、たまにだったらダイエットをがんばっている自分へのご褒美として揚げ物を食べるのを許してあげましょう。
1日に食べる肉の量の目安
厚生労働省によると、日本人の1日のタンパク質の必要量は、成人男性で50〜60g、成人女性で40〜50gの摂取が推奨されています。
そうすると1日に食べる肉の量は…
- 男性 200〜250g
- 女性 150〜200g
が目安となります。
肉食ダイエットのメリット
さてここからは肉食ダイエットのメリットとデメリットをご紹介します。
まずはメリットから。
タンパク質が豊富
肉といったらタンパク源の代表格ですよね。
三大栄養素のひとつであるタンパク質は筋肉、内臓、髪の毛、ホルモンなど身体のありとあらゆる器官や組織の材料となります。
前述したとおり、糖質や脂質については体内に貯蔵庫があるけれど、タンパク質には貯蔵庫がありません。
そのため適宜摂取しつづける必要がある反面、体脂肪のように身体の余分なものに変換されて貯蔵される心配がないのがタンパク質のありがたいところ。
筋トレと平行してタンパク質を適切に摂取すれば筋肥大につながり、そうすると基礎代謝がアップして脂肪が燃焼しやすくもなります。
タンパク質が不足すると筋肉がやせ細ったり、髪の質が低くなったり、肌が衰えたり、免疫力が落ちたりと良いことがありません。
そのためタンパク質は三大栄養素のなかでもっとも積極的に摂取したほうがいい栄養素なのです。
糖質が少ない
肉には糖質がほとんど含まれていません。
これも前述しましたが、糖質は過剰に摂取すると脂肪に変換されて体内に蓄積されてしまいます。
糖質制限は体内への脂肪の蓄積を阻止しようというダイエット法で、糖質が少ない肉を食べるのも糖質制限の一貫としてよく行われます。
脂肪燃焼を助けるL-カルニチンが豊富
L-カルニチンには、体内の脂肪酸を細胞のミトコンドリアに運搬する役割があります。
この役割により脂肪燃焼を助けるため、L-カルニチンはダイエット効果が期待できるとされています。
前述したとおり、L-カルニチンをもっとも多く含む肉は羊肉。その量は2位の牛肉の約1.5倍を誇ります。
牛肉は3位の豚肉の約2倍、豚肉は4位の鶏肉の約2倍の量のL-カルニチンが含まれています。
消費エネルギーが大きい
肉は消化や吸収に時間がかかります。そうすると胃や腸などの内臓が活動する時間も長くなります。
摂取した食べ物を消化・吸収するということは身体はエネルギーを消費します。内臓が活動する時間が長くなればそれだけ多くのエネルギーを消費することになります。
食後に代謝料が増えることを「食事誘発性熱産生」といいます。
糖質を摂取したときは摂取カロリーの約6%のエネルギーが消費されますが、タンパク質を摂取したときはこれが約30%となるので肉を食べることは脂肪燃焼につながるともいえますね。
満足感が高い
ダイエットとなると「食べることをガマンすること」という印象をお持ちではないでしょうか。
しかしダイエット中でも肉を食べていいとなれば、ストレスをためずにダイエットにがんばれますよね。
しかも肉は前述したとおり、消化・吸収に時間がかかるため胃などで長くとどまります。
長くとどまるということは、満腹感が持続することにもつながります。
肉食は精神的にも物理的にも満足感が高まるのですね。
肉食ダイエットのデメリット
次は肉食ダイエットのデメリットです。
腸内環境が悪化しやすい
肉を食べたあとにおならをすると、とても臭いことはないでしょうか?
日頃から肉食が多いとおならが臭くなりやすいのですが、これは腸内環境が乱れているサインかもしれません。
肉の食べすぎは大腸菌などの悪玉菌を増やします。悪玉菌が増えすぎると腸内環境は悪化し、おならが臭くなるだけでなく便秘にもなりやすくなり、最悪の場合、大腸がんに発展することも…。
ドロドロ血になりやすい
脂質が多い肉を食べすぎると血液がドロドロになりやすくなります。
悪玉コレステロールや中性脂肪が血液中に多く含まれているとドロドロ血になり、これにより血管を狭めたり、血管を硬くする動脈硬化が起こります。
動脈硬化になると脳血管疾患や心臓疾患、はたまたさまざまながんにまでつながるので脂質の摂りすぎは禁物です。
糖尿病や腎臓病のリスクが高くなる
日本生活習慣病予防協会によると、赤身肉の食べすぎは糖尿病のリスクを高め、過剰に赤身肉を食べすぎると腎臓病のリスクも高まるとのことです。
参考 肉を食べ過ぎると糖尿病リスクが上昇 魚を食べるとリスクは低下日本生活習慣病予防協会糖尿病や腎臓病が心配な場合は、赤身肉でない鶏肉か魚介類や卵、大豆等の他のタンパク質をより多く摂取しましょう。
食費が高くなりがち
冒頭で紹介したいきなりステーキに通う人たちの番組を見ていて私は、他人事ながら心配になったのが、毎日通いつづけてお金のほうはどうなの? ということでした。
出演された方々は皆さん、お金には不自由していないようだったからいきなりステーキに毎日通いつづけられるのでしょう。でも一般的には金銭的な理由から、ステーキ店で毎日食事とはいきませんよね。
スーパーマーケットなどで生の肉を買って自分で調理すれば外食よりは安くつきますが、でも肉は炭水化物などのほかの食材に比べて高くつくのが難点です。
おわりに
今回は、ダイエットのための肉食講座をお送りしてきました。
肉食系なあなたには朗報だったかもしれませんね。
ただし、何事も「〜しすぎ」はよくありません。
いくら肉食がダイエットに良いからとはいえ、いくら肉が好きだからといって、同じものばかり食べていたら栄養が偏るし、デメリットで紹介したとおりのことか起こるかもしれません。
よって、肉を食べるのは構いませんが、栄養バランスを考えて野菜などもきちんと食べ、運動も織り交ぜた健康的なダイエットをしてもらいたいと思います。