飲食店の予約無断キャンセルはなぜ起こる?背景に電話嫌いや自分本位な考えが

飲食店の予約無断キャンセルはなぜ起こる?背景に電話嫌いや自分本位な考えが

NHKのニュースを見ていたら気になる特集が放送されていた。

それは、飲食店に予約をしたにも関わらず予約の時間になっても客が現れない、店が客に電話をしても応答がない、つまり予約の無断キャンセルがおこなわれているという内容の特集だった。

予約をキャンセルされると店は見込んでいた売上がなくなってしまうので大きな痛手だ。

キャンセルの連絡が事前にあれば他の客をその予約時間に充てることができる。しかしキャンセルの連絡がまったくなければそれができなくなってしまう。キャンセルとなった席に予約以外の客を充てることは一応は可能だが、後の時間に予約が入っていると、先客には早々にお引取り願わなければならなくなるのでそれも難しい問題だという。

というわけで今回は、なぜ無断キャンセルが起こってしまうのかを考えてみたい。

無断キャンセルはモラル違反

番組の特集では番組スタッフが無断キャンセルをしたことがある人たちにインタビューをしてその模様も放送していた。

これによると無断キャンセルしたのは…

● 友人との急の約束ができたので
● その日の仕事が終わらなかったので

ということだった。

これに対して私もこんなツイートをした。

このように「けしからん。モラルの観点からもキャンセルの連絡は必ずすべきだ」というのは容易い。

しかしこんなことは私を含めて多くの人がわかっていることだ。「自分はキャンセルするときは必ず事前に連絡する。あたりまえじゃん」と言う人がほとんどだろう。

ところが一方で無断キャンセルをする人がいる。

キャンセルの連絡をする人が一方、無断キャンセルをする人がいるのはいったいなぜだろうかと考えるのが今回のメインテーマだ。

補足
なお、番組の特集には弁護士も登場して、予約の無断キャンセルは債務不履行に該当すると語っていた。モラル違反だけでは済まないことを付け加えておきたい。

無断キャンセルが横行するのは電話嫌いな人が増えたから?

無断キャンセルが横行する。これは電話が嫌いな人が多くなっているからではないだろうか。

こちらのグラフは「会社にかかってくる電話に出るのが嫌い」な人の割合だが、「電話が嫌い」という意見をもつ人は年代が低くなればなるほど高くなる傾向にある。

参考 電話は人の時間を奪う行為? 電話が嫌いな新入社員も急増中しらべぇ

この記事でも「メールやメッセージアプリなど、文章でやり取りを主流としてきた世代には、電話での対応を苦痛に感じるようだ。」とあり、あのホリエモンも「電話してくる人とは仕事するな」と発言して炎上したのは記憶に新しい。

参考 堀江貴文氏「電話してくる人とは仕事するな」東洋経済オンライン

ホリエモンの意見は炎上したが共感する人も多く、電話というツールに対して嫌悪感を抱く人が多くなっているのは確かだろう。

かくいう私も、電話しなくて済むのなら電話はしたくないと思っているうちの一人だったりする。

キャンセルすることで自分が悪者になりたくないと考える人

飲食店の予約キャンセルに話を戻そう。

「おそらく予約のときも店に電話をしたのだろうから、キャンセルのときも電話をすればいいではないか」という意見もあるかもしれない。

たしかにそのとおりだ。しかし、予約のときとキャンセルのときとでは電話するときの心理的負担が異なることを見落としてはいけない。

予約で電話するときと比べてキャンセルで電話するときのほうが心理的負担が大きい

電話が嫌いな人は姿が見えない電話の相手とのやりとりで受ける心理的負担を嫌う。心理的負担を受けるのが嫌だから電話が嫌いなのだ。

そう考えると、電話で予約のキャンセルをするのは心理的負担の大きい作業だと考えることができる。

なぜなら、キャンセルをすると店の人を落胆させる可能性があるからだ。

今は飲食店はどこも経営が苦しい。せっかく予約が入ったと喜んでいたのに後になってそれがキャンセルされれば店の人はがっかりするだろう。

客はキャンセルの電話をすることで店の人が発するがっかりした様子を、それがたとえ電話であろうとも気がつくものだからだ。もし店の人が落胆した様子を出さないとしても、客は「落胆しているのではないか」と勝手に想像してしまう。

もしくは自分がキャンセルことで店側に余計な負担を強いるのではないかという想像をする。キャンセルをすればそこに新たな客を充てなければいけないし、そうすれば予約表も書き換えなければならないからだ。

店の人をがっかりさせたり余計な負担を強いるのは、客の加害者意識を触発する。「自分が何か悪いことをしているのではないか」という気持ちを抱かせる。これが電話嫌いな人が受ける心理的負担だ。

人は善良であればあるほど「自分は悪いことをするわけがない」「悪いことはしたくない」と思っている。こういう思いを抱いているからこそ、「予約キャンセルの電話をして自分が悪者になるくらいだったら、キャンセルの連絡はしないほうがいい」という心理的負担を回避する考えに結びついてしまう。

もちろんこのような考えがモラルに反していることは言うまでもない。先にも言ったとおり、キャンセルの連絡をしなければ売上に直結するので店側は余計にがっかりするし、さらに余計な負担を強いることになるからだ。

しかしキャンセルの連絡をしない人はそこまでの想像が働かない。想像が働くのはあくまで「自分が悪者にならないために」「心理的負担を受けないために」というところまでだ。つまり未熟で自分本位な考えがそこにはある。

モラルもへったくれもない不届き者たち

しかし、上記のような考えならまだマシかもしれない。

無断キャンセルする人のなかには、キャンセルをしてもキャンセル料がとられるわけではないし、自分の社会的信用が落ちるわけではないと思っている人もいる。

こういった考えの人がキャンセルの連絡をわざわざ自分からするとは到底思えない。

先の例の人に輪をかけて自分本位な人であるが、残念ながらこのように「モラルなんてどこ吹く風」と思っている不届き者もいるのが事実だ。

飲食店は予約管理システムの導入を

不届き者に対してモラルを説いても仕方がない。

そのため店側は予約管理システムを導入して、無断キャンセルまたは直前キャンセルの場合はキャンセル料を徴収するという防衛策をとるのが最善の策だろう。

航空業界の航空券予約、宿泊業界の宿泊予約ですでにルールが設けられているので多くの人々の理解が得られるだろう。

システムを導入すれば初期費用や利用料はかかるが、キャンセル料が徴収できれば店としてもありがたいはずだ。

予約管理をインターネットを活用したシステムに任せれば予約やキャンセルを電話で受ける必要がなくなるので店の人件費を削減することもできたり、わずらわしい業務から解放されるというメリットもある。

客側も、私を含めたインターネットがあたりまえの人からすると電話をしなくてもいいのはありがたい。インターネットならば電話相手の心情をおもんばかったり、心理的負担を受けることもないので気が楽だ。

今回は触れなかったが、予約したことを忘れていたために無断キャンセルになる場合もあるとのことなので、システムが予約前日などに予約客にメールをすれば予約忘れのリスクも減らせるのもメリットだ。

こうすれば店はWin、客もWin、システム会社もWinで「Win-Win-Win」の関係が築ける。

ただし、飲食店が予約システムを導入すると、インターネットを使えないまたは使いたくない人、もしくはクレジットカードを持っていない(持てない)人は蚊帳の外になってしまう。

しかしこれは「そういう時代だから仕方がない」と割り切るしかないだろう。

おわりに:痛みがなければもっとも楽なことをするのが人間

今回はなぜ飲食店の予約無断キャンセルはなぜ起こるのかを考えてみた。

あれこれ書いてきたが、予約した人の性格がどうであれ、なんのペナルティも課されないのが無断キャンセルが横行するもっとも大きな理由だろう。

なんのペナルティも課されないと知るや否や安易に不届き行為に走ってしまう。これが人間の性というものだ。

すべての人がモラルやルールを守れるのなら警察や法律は不要だが、はみ出し者が一定数いるのならなんらかの対策は必要だ。

どんなときにでも電話でないと気が済まないという人には申し訳ないが、知恵を絞ってより多くの人がWinになることを望みたい。